【悪魔の使いに誘われて】(その5、最終回) 長島義明
暗い夜道で幾度も転けそうになりながら、やっと家にたどり着いた。
薄暗い部屋に油の灯明が黄色く輝いている。誰か灯をつけてくれたのだろう。
「お帰り」
だれも居ないはずの部屋、隅の方で少年の声がした。
…
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暗い夜道で幾度も転けそうになりながら、やっと家にたどり着いた。
薄暗い部屋に油の灯明が黄色く輝いている。誰か灯をつけてくれたのだろう。
「お帰り」
だれも居ないはずの部屋、隅の方で少年の声がした。
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お寺を出ると少年は少し用事があると云ってどこかに行ってしまった。一人になった僕は村中を歩いた、と云ってもわずか30件ほどの家がある小さな村である。坂道の両側に石積みの家が列んでいる。すべての家の玄関…
「いけにえ?」
「そうです。生け贄に選ばれた人です」
「この村ではなにか重大な事がある時は生け贄を神、仏に捧げます」
「まさか、その生け贄になった人を殺すのじゃないだろうね」
「殺しはしませんが、生…
翌朝、夜明け前に少年に誘われて村の裏の丘に登った。
遥か彼方、東の方に雪を被った山々が見える。その姿は清々しく、神々の峰と呼ぶに相応しい光景であった。
「おじさん、あの一番高い山、知っているかい」少年…
ラダックの祭りの翌日、僕は一人の不思議な少年に声をかけられた。
「おじさん一人かい」
「そうだよ、日本からきたのだよ」
少年は顔も体も色粉を塗り、仮装している。
「僕は悪魔の使いなんだ」
「おじさん…
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