【DRAGON ART CALENDAR】2008年3月〜4月


さあ、何を見に行く?

アートカレンダー 2008/3/20〜4/19

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〈feature 1〉横尾忠則ワールド、全開

60年代初めにグラフィックデザイナーとしてデビューし、演劇、映画、音楽など多岐にわたって活躍し、1981年には画家として活動することを宣言した横尾忠則。自身の趣味嗜好、生い立ちといった私的なことがらが、「時代」と合体し、パワーあふれる独自の作風となっている。昨今は隠居宣言のかたわら小説家としてもデビューするなど、話題も尽きない。この春は3ヵ所で展覧会を開催。70歳を超えて、ますます存在感を見せつけている。

【用賀】世田谷美術館●冒険王・横尾忠則 初公開!60年代未公開作品から最新絵画まで 4月19日から6月15日まで
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/next.html
「冒険」をテーマに構成。60年代のグラフィック原画から、冒険的な物語がテーマの最新作まで、700点もの作品が全館に展開する。事件を予感させる〈Y字路〉シリーズの近作に始まり、江戸川乱歩の「少年探偵団」、ジュール・ヴェルヌの「海底二万里」、ターザン映画などから生まれた作品が登場。都会の屋敷の地下室から洞窟、海底、密林……と冒険のイメージは繋がっていく。また、“方法論上の冒険”という切り口から、1960 70年代のグラフィック原画を展示。「平凡パンチ」「話の特集」を飾ったイラスト、寺山修司や唐十郎、土方巽らのアングラ演劇・舞踏のポスターなど、大胆かつ緻密な仕事ぶりが伺える。

【日本橋】西村画廊●温泉主義 4月12日まで
http://www.nishimura-gallery.com/
横尾忠則が全国各地の温泉に出向き、そこで感じた感覚やインスピレーションをもとに絵画を制作、エッセイとともにフリーペーパーに連載中のシリーズ。温泉地に漂うノスタルジックな日本情緒と、横尾の過去の思い出、そして訪問時の経験が混ざり合い、新たな絵画世界を生み出している。『城崎幻想』(城崎温泉)『想い出劇場』(石和温泉)「赤い糸」(伊香保温泉)など、最新作15点を展示。

【谷中】SCAI THE BATHHOUSE●横尾忠則 横尾忠則のふたつめの壺 4月5日まで
http://www.scaithebathhouse.com/ja/exhibition/data/080201tadanori_yokoo/
80年代から2000年前半までのペインティングを展示した第1期「横尾忠則の壺」に続く第2期の展示「横尾忠則のふたつめの壺」では、新作を展示。まるでブラックホールのような、奥深い壺から、予測不可能な作品を取り出す…というイメージで命名された今回の展示。進化する作家の「いま」をリアルタイムで体験することになるだろう。

 

〈feature 2〉新進アーティストの育成、紹介

【六本木】国立新美術館●アーティスト・ファイル2008 現代の作家たち 5月6日まで
http://www.nact.jp/exhibition_special/2007/artistfile2008/index.html#points
新しいアートの動向を紹介するシリーズ第一弾。統一的なテーマを設定せず、さまざまな領域からアーティストを選定。特殊な透明フィルムでつくったバルーンの中にヘリウムガスを満たした「浮遊」シリーズで知られる市川武史、白いケント紙に細く研いだシャープペンシルで微細な線を集積させる佐伯洋江、無意識の記憶の底へ旅をするようなインスタレーションを出品するさわひらき、風景やセルフポートレートを手がけるエリナ・ブロテルスなど8人の作家が登場する。

【上野】上野の森美術館●VOCA展2008 新しい平面の作家たち 3月30日まで
http://www.ueno-mori.org/tenji/voca/2008/information.html
今年で15回目を迎える「VOCA(ヴォーカ)展」は、平面作品の領域で、全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40歳以下の若手作家を推薦してもらい、その作家が新作を出品するという方式で、将来性のある若手作家を支援してきた。今回は36作家が出品。グランプリにはサテン布に多色の染料を用いた横内賢太郎が選ばれた。

【渋谷】トーキョーワンダーサイト渋谷●ワンダーシード2008 3月27日まで
http://www.tokyo-ws.org/shibuya/index.html
トーキョーワンダーサイトでは、さまざまな分野の若手アーティストの育成、支援を目的に、“BUY=SUPPORT”をコンセプトとした販売の機会を設けている。今年で6回目を迎える「ワンダーシード」は、公募展という形態ながら入選作品を購入してもらうことで、アーティストの支援と作品の普及を目指している。昨年度からはオンライン販売も開始し、注目を集めた。毎年500点もの応募作品から、約100点の作品が、トーキョーワンダーサイト渋谷に展示されている。

【新宿】損保ジャパン東郷青児美術館●第27回損保ジャパン美術財団 選抜奨励展 3月30日まで
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html
全国の推薦委員から推薦された若手作家26人の平面作品と、美術団体公募展の「損保ジャパン美術財団奨励賞」受賞者(平面34人、立体21人)を紹介。

 

〈feature 3〉写真展、あれこれ

【恵比寿】東京都写真美術館●知られざる鬼才、マリオ・ジャコメッリ展 5月6日まで
http://www.syabi.com/details/mario.html
2000年に死去したイタリアの写真家、マリオ・ジャコメッリは、生まれ育ったイタリア北東部の街・セニガリアからほとんど離れることなく、写真を撮り続けた。長いキャリアと欧米での高い評価に比べると、日本では知られていなかったこの写真家の代表作から最晩年の作品を網羅して、その全容を明らかにしていく。白と黒のハイ・コントラストで生と死や人間の内面を表現し続けた「知られざる写真界の巨人」の世界を堪能したい。

【外苑前】ワタリウム美術館●流しの写真屋 渡辺克巳 1965-2005 写真展 4月20日まで
http://www.watarium.co.jp/exhibition/0802watanabe/index.html
60年代半ばの高度成長期、新宿の街に出て、写真を撮ることで生計を立てていた「流しの写真屋」渡辺克巳。2006年1月に65歳で死去した渡辺が残した1000枚の写真を展示する。急激な発展と、その影が表裏一体となり、人々のエネルギーが渦巻いていた新宿で、何ともいえない優しい表情のゲイボーイや娼婦達、いかついヤクザ者などを捉えたポートレートに、今はなき時代の熱さを見ることができるだろう。

【東京】大丸ミュージアム・東京●20世紀の巨匠たち― 美を見つめる眼 社会を見つめる眼 4月3日から4月21日まで
http://www.daimaru.co.jp/museum/schedule/tokyo/index.html
マン・レイ、ロバート・キャパ、アービング・ペン、エドワード・ウェストン、ロバート・メイプルソープなど20世紀の写真史に大きな足跡を残した14人の作品120点で、「写真とは何か」を考える展覧会。芸術性と記録性という写真が持つ二つの側面から全体を構成する。

 

〈pick up〉そのほか、注目の展覧会

【六本木】国立新美術館●モディリアーニ展 3月26日から6月9日まで
http://modi2008.jp/
初公開20点を含む約150点の作品が集まる、過去最大規模のモディリアーニ展。エコール・ド・パリの画家として、20世紀初頭のパリで活躍、35年という若さで生涯を閉じたモディリアーニ。今回は彼が大きく影響を受けたプリミディヴィズム(原始主義)に注目。10ヵ国を超える国から厳選した油彩と素描で、 モディリアーニの知られざる側面に迫る。また、同時代の画家であるローランサンやスーティンの肖像画も展示する。

【上野】東京国立博物館 平成館●平城遷都1300年記念 国宝薬師寺展 3月25日から6月8日まで
http://yakushiji2008.jp/
日本仏教彫刻の最高傑作として知られる国宝「日光・月光菩薩立像」をはじめ、日本古代を代表する彫刻の名宝で国宝の「聖観音菩薩立像」や、精緻でふくよかな描写が美しい奈良時代の絵画の名品である国宝「吉祥天像」、さらには草創期の寺の姿をたどる考古遺物など、薬師寺の数々の文化財が寺外初公開。なかでも、「日光・月光菩薩立像」はその光背のために、また、「聖観音菩薩立像」は厨子内にあるため、これまで見ることのできなかった側面や背面など、あらゆる角度から鑑賞できる絶好の機会になる。

【津】三重県立美術館●液晶絵画 Still/Motion 4月13日まで
http://www.pref.mie.jp/BIJUTSU/HP/jp/home.htm
〈巡回〉4月29日 6月15日 国立国際美術館(大阪)、8月23日 10月13日、東京都写真美術館(東京・恵比寿)
1960年代、ナム・ジュン・パイクを嚆矢とするビデオ・アーティストたちは、映画とは異なる映像の可能性に注目し、ビデオならではのさまざまな実験的作品を試みてきた。そして近年、飛躍的な技術的発展を見せている平面ディスプレー装置は、そうしたビデオ・アートの世界に新たな1ページを開きつつある。最先端の液晶ディスプレーによる作品で構成される実験的なプロジェクトに付けられたタイトルは「液晶絵画」。「スティル(静止)」と「モーション(動き)」という視点から、絵画と映像というふたつの領域の境界を横断し、さらにはジャンルの概念そのものを組み替えてしまうような可能性を感じさせる作品を提示する。出品作家はブライアン・イーノ、ビル・ヴィオラ、森村泰昌、やなぎみわら14人。

【府中】府中市美術館●南蛮の夢、紅毛のまぼろし 5月11日まで
http://www.art.city.fuchu.tokyo.jp/01_Kikakuten/H19/nanban/Nanban.htm
安土桃山時代、日本と交流があったポルトガルやスペインの国々は「南蛮」、江戸時代に西洋で唯一の交流をもっていた国、オランダは「紅毛(こうもう)」と呼ばれた。明治時代、かつての「南蛮」や「紅毛」の歴史や文化に、深く関心を寄せる人々が現れる。例えば、伊達政宗に派遣されローマ教皇との謁見するも、帰国時にはすでに厳しいキリスト教弾圧が行なわれていたという非運の武士、支倉常長が持ち帰った品々は、人々に大きな驚きと感慨を呼び起こした。あるいは、すでに西洋風の本格的な写実絵画を見慣れていた近代の人々にとって、江戸時代のオランダ風絵画には素朴な味わいがあると受け止められた。さらに、日本の地に異国の人々がいる光景に面白みを感じ取り、イメージをふくらませていった、竹久夢二や川上澄生のような画家も登場する。この展覧会はそうした「南蛮」「紅毛」に憧れ、生み出された作品を紹介する初めての試みとなる。

text by Noriko Tsuchiya

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