【DRAGON ART CALENDAR】12月〜2008年1月


さあ、何を見に行く?

アートカレンダー 12/20〜2008/1/19

※それぞれのURLをクリックすると、詳細ページにジャンプします。

***

〈feature 1〉年末年始、行きたい展覧会をチェック

【横浜】横浜美術館●GOTH-ゴス-展 12月22日から2008年3月26日まで
http://www.yaf.or.jp/yma/
音楽や映像、ファッション、小説などさまざまなカルチャーシーンで形容される「ゴス/ゴシック」という現象。黒で統一した服やメイク、モンスターや幽霊、人工的な世界といったいくつかのキーワードでくくることができるが、そもそも「ゴス」という名称は、“高貴な単純さと静謐な偉大さ”で貫かれたギリシア・ローマ時代の美や文化に対して、粗野で野蛮なものとされた中世の芸術様式につけられた、ある種の蔑称である「ゴシック」に由来している。しかし現代の「ゴス」は、これらとはほとんど関係がない。むしろ19世紀イギリスで流行した中世ゴシックの懐古趣味から生まれた幻想文学などにルーツを持っている。幻想的で怪奇的なもの、死、闇、狂気。トランスジェンダー、装飾過剰なもの、そういったイメージをさす。
ポップ・カルチャーにおける「ゴス」の隆盛は、ファイン・アートとは一線を画しているように見えるが、これらのものがはらむ悪趣味なほどの過剰さ、退廃、異形の生物や変容する身体の表現といったモチーフは、ある枠組みから逸脱していこうとする現代の作家にも共有されてしかるべき要素なのではないか―?。この展覧会は、そうした観点から企画された。
世界的に活動する6組のアーティストによる絵画、立体、映像、写真な200点を超える作品を展示し、「ゴス」の本質を読み解いていく。

【品川】原美術館●ピピロッティ・リスト「からから」 2008年2月11日まで
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
国際的に活躍するスイス人女性アーティスト、ピピロッティ・リストの日本初個展。駐車している車の窓を楽しそうに叩き割る女性、溶岩の炎に包まれてのたうちまわる女性……明るくキュートな色彩とはうらはらなインパクトある映像が特徴だ。今回はヴェネチアビエンナーレで話題をさらった映像や、大型インスタレーション、新作まで、代表作11点が公開されている。

【初台】NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]●サイレント・ダイアローグ 2008年2月17日まで
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2007/SilentDialogue/index_j.html
植物や動物、昆虫など生物同士が持つ、人間には見ることのできないコミュニケーションや生態を調査し、その様子を参照することによって、人間が自然環境とどのように関わることができるかを示唆するメディアアートの展覧会。植物に歩行訓練を行うという設定で制作された藤幡正樹+銅金裕司の作品や、原木に生えた椎茸の生体電位を音として取り出したマイケル・プライムの作品、鳥の発声器官の構造を物理モデリングしたソフトウェアが出力した鳴き声に対して、自然界の鳥から応答があった場合に、ソフトウェア自身が学習プロセスを使い、その声を変化・洗練させていくというtEnt(田中浩也+久原真人)の作品など、独自の試みを通して、新しい視点を提示する。

【六本木】21_21 DESIGN SIGHT● 佐藤卓ディレクション「water」 2008年1月14日まで
http://www.2121designsight.jp/schedule/program.html
グラフィックデザイナー・佐藤卓のディレクションによる「水」をテーマにした展覧会。文化人類学者の竹村真一、写真家の藤井保、照明デザイナーの海藤春樹ら、各分野で活躍する人々とチームを結成し、リサーチやディスカッションを重ね、生き物にとって必要不可欠な「水」、その性質を、観客の五感に訴える新しいデザインを通して追求している。
 
※年末年始の開館については各サイトを参照してください
 

〈feature 2〉文学とアート、その接点

【恵比寿】東京都写真美術館●文学の触覚 2008年2月17日まで
http://www.syabi.com/details/bungaku.html
本来は読者のイマジネーションに委ねられる「小説の世界」を視覚化したらどうなるのか。文章を目で見る/耳で聞くこと、小説の中で描かれた風景を再現すること、古典作品のオマージュ、という3つの観点から、川上弘美、松浦寿輝、平野啓一郎、舞城王太郎、穂村弘ら作家と、森村泰昌、近森基++久納鏡子らアーティストによるコラボレーションが展開する。

【用賀】世田谷美術館●パラオ ふたつの人生―鬼才・中島敦と日本のゴーギャン・土方久功 2008年1月27日まで
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
1941年、当時、日本の委任統治領となり、南洋庁が置かれていたミクロネシア諸島のパラオ。この地で出会った土方久功と中島敦というふたりの芸術家を、その交流から紹介する展覧会。美術家であり民族誌家、詩人として活躍した“日本のゴーギャン”土方久功(ひじかた・ひさかつ 1900-1976)は、1929年にパラオへ渡り、制作のかたわら、現地の子どもたちに彫刻を教え、加えて神話の採取や民俗の調査を行っていた。一方、作家・中島敦(1909-1942)は、喘息の治療と執筆に専念するため、横浜高等女学校を退職したのち、日本語の編修書記としてパラオ南洋庁内務部地方課に勤務することに。意気投合したふたりは共にパラオの島々を巡る旅をして、親交を結ぶ。風土病に冒された中島は翌年帰国し、作家として将来を嘱望されながらも、33歳の若さで逝去。土方は戦後、南洋をテーマにしたさまざまな作品を発表、76歳で生涯を閉じる。この展覧会では土方の絵画、彫刻、レリーフ、採集した民話と、中島の原稿や書簡を展示している。

 

〈pick up〉そのほか、注目の展覧会

【汐留】松下電工汐留ミュージアム●「あかり/光/アート展」 2008年2月24日まで
http://www.mew.co.jp/corp/museum/exhibition/07/071208/
江戸時代から現代まで、日本文化における「あかり」の多彩な世界を紹介。奈良・安堵町歴史民俗資料館に収蔵されている辻本コレクションを中心に、行灯や提灯、ねずみ短檠(たんけい)、座敷ランプなど、技巧を凝らした照明器具の数々と、「あかり」や「ひかり」をモチーフとした現代アート作品など約280点を展示。現在のような照明が当たり前ではなかった時代に、人々にとってあかりとは何だったのか、そして未来のあかりと人間との可能性について思いをはせる内容となっている。

【外苑前】ワタリウム美術館●クマグスの森展―南方熊楠の見た夢 2008年2月3日まで
http://www.watarium.co.jp/exhibition/under.html#ex
博物学、民俗学、植物学の巨人、南方熊楠(1867-1941)の生き方に焦点をあてる。19歳で東京大学予備門を中退し、突然アメリカに渡った熊楠。33歳で帰国するまで南米、ヨーロッパを放浪した時代を検証する第一部「世界を放浪する」、熊楠による夢や身体、タブー論にせまる第二部「熊楠の内的宇宙」、粘菌や海藻、昆虫など、熊楠が那智で実施した生物研究の成果である標本を展示する第三部「森の命」という三部構成。初公開になる貴重な資料や、400点もの精緻な「きのこ図譜」など、見どころがいっぱいだ。

【九段下】成山画廊●松井冬子 Narcissus  2008年2月23日まで
http://www.gallery-naruyama.com/exhibition.html
大きな注目を集める日本画家、松井冬子は今年度、東京芸大大学院を修了、日本画専攻の女性として初の博士号を取得。成山画廊での二回目となる今回の個展は、ギリシャ神話の登場人物であり、自己愛、狂気の象徴であるナルシシズムの語源「ナルキッソス」を取り上げ、新作を発表。これまで見たことのない日本画を追求している。

text by Noriko Tsuchiya

DRAGON ART CREATOR’S REVIEW • Powered by Wordpress • Management by Kouhei Muramatsu • Logo&Icon Kintaro Takahashi