[アー画 ~アートな映画をご紹介~ 1] 『クリムト』 ~絵画のような映画~

Posted on 4月 8, 2007

DVD『クリムト デラックス版』2007/04/25発売 4,935(税込) 販売元:ジェネオン エンタテインメント
DVD『クリムト デラックス版』
2007/04/25発売 4,935(税込) 販売元:ジェネオン エンタテインメント

絵画や立体など、多くのアート作品には言葉がない。明確な言葉を持つものは書道くらいだろうか。それも言葉が言葉として意味を成すのではなく、言葉をモデルに見立てて墨を画材に絵画を描くようなものであり、伝達を目的に言葉を使うものではないとも言えよう。
この映画もまた、そんな作品なのだ。
グスタフ・クリムトといえば、言わずと知れたアール・ヌーヴォーを代表する画家である。芸術の都ウィーンの栄光が終焉を迎えようとしていた19世紀末、クリムトもまた死の床についていた。性病である。
彼の脳裏には、それまでの人生が走馬灯のようにめぐる。官能的な作品はウィーンで非難を浴びたが、逆にパリでは万博で金賞を受賞するなど絶賛される。対象に触れないと描けない彼はモデルと関係を持ち30人もの子どもを作るが、恋人にはプラトニックを貫く。代表作「接吻」のように甘美で妖艶なエロスで”生”を表す一方、少女の遺体を描くことにより、すべてに訪れる”死”をも見つめた。チャンスを与えた若い画家からは自分の才能を脅かされ、あれだけ多くの女性に囲まれながらも「宿命の女(ファム・ファタル)」との恋はなかなか成就しない―――。日本の琳派(りんぱ)の影響を受けた作風で”東洋”と”西洋”とをカンバスに共存させたように、彼の人生は対極から対極へ極端に揺れ動いていたのだ。
本作もまた、揺れ動き続けて留まる所を知らない。時系列は無視され、シーンとシーンも繋がりを持たず、細切れの時間がシャッフルされる。死の間際にある彼の脳内のように、思考は意味を成さない。ストーリーを追おうとしようものなら、すべてが混乱してしまう。台詞の言葉は言葉として機能しているのではない。書道のように、絵画の意味合いを持つものなのだ。―――そう、この映画は絵画そのものなのである。

2007/4/4 LINDEN

公式サイト(一部地域で6月8日まで公開中)
http://www.klimt-movie.com/
■アマゾンでのご購入はこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/B000NIVIP0

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Author: LINDEN
Profile:【LINDEN プロフィール】 父親が画材屋だったことから、幼少の時分から絵画に親しむ。小学校低学年の頃から写生大会やコンテスト、展覧会などで軒並み入賞を果たすようになり、周囲を驚かせた。自宅では父親所蔵の美術関連書籍を読んだり、学校でも時間さえあれば図書館に入りびたって美術書を閲覧したりするなど、独学で美術への知識を深めていく。中学校に入ってからも出品するすべてのコンテストで入選・入賞を果たすなどの実績を積み、美術部部長を務める。その後も美術の道に順調に進むかに見えたが、父親の「絵では食えない」の言葉を真に受け、また、思春期のなせる業か「製作に没頭することに嫌気が差していた」ことから、中学卒業と同時に絵筆を手離し、ほどなく音楽活動に没頭するようになる。 成人後、必要に迫られてPCで2D製作を行ったが、あまりものブランクにデッサン力が格段に落ちていたため、美術活動への復帰は時間のたっぷりある老後で充分だと考えている。 好きな画家は、ダリ、マグリット、ルソー、エルンスト、キリコ、シャガール、フェルメール、きたのじゅんこ。 現在はボーカリスト、作詞家として音楽活動を行う。 iTunes Music Store や着うたにてオリジナル楽曲を配信するほか、映画ライターとしても活動中。 公式サイト「LINDEN TREE」
Data: 2007 年 4 月 8 日 at 2:25 AM

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