[アーティスト奇行1] 奇想の顔収集家・村田彩

Posted on 4月 8, 2007

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画家、彫刻家、デザイナーなど職種は問わないがクリエイティブな活動をしている人間は、「絵コンテを毎日描く」「気になった雑誌を集める」「写真を撮る」「お酒を飲む」など、日々その創作の源になるような“何か”を続けていたりする。「アーティスト奇行」では、その中でもやや(?)風変わりな習慣・調査を続けるアーティストたちを紹介したい。

今回、その第1回目として、今年多摩美術大学院に進学したばかりのフレッシュな村田彩を取り上げる。その絵画は、何百枚と展示される卒業制作展の中でも、あっと度肝を抜く。初回として、相応しいのではないだろうか。

村田彩は大学入学後から毎日、新聞の切抜きを続けている。もしかしたら、新聞の切抜きは誰でもしているかもしれない。しかしながら、彼女が注目するのは、人の顔である。特に、気になるのは、政治家などの中年の男性の顔の写真。今、そのファイルは何十冊になっているだろうか?それを男性・女性・群集などと分類している。それらは几帳面に整理され、まるで人間の喜怒哀楽を集めた標本のようだ。

「人の顔が好き」と村田は言う。特に、新聞の社会面などに登場する、思いっ切り苦悩していたり、思いっ切り笑っていたり、思いっ切り叫んでいたりする“顔”を集めてしまうという。つまり、感情が極限まで達した表情や、人間くささが表れた顔に興味があるとうことだろう。それらを素材に生き生きとした人間の顔をキャンバスに描いていく。

村田は130号の大作にこの冬から春にかけて取り組んでいた。卒業制作のためである。この絵は多くの人に見られ、それによって大学院などの進学や学芸員、ギャラリストたちの目に触れ、人生が左右される。それでも、村田の個性的な作風は変わらない。とても20歳過ぎの女の子が描いたとは思えないほど、ナンセンスで、グロい。その異様さは自画像であっても、手を抜かないところが圧巻である。そして、その作品には、イタズラ心と下品さがある。
例えば、絵に登場するのは、怪しい生き物やイジワルそうなおじさんやお節介そうなおばさん。それらがお尻を出していたり、いやらしく隅から覗いていたり、鼻水を垂らしていたりしている。
周囲から「(最近流行している)エロには走らないのか」と、聞かれることがあるという。村田はその質問に、笑顔でこう答える。「私のいたずらは小学生レベルなのです」大学で絵画を専攻する学生たちの多くは自分の“資質”が見つけられず、流行に流され、個々の持っている世界観とは違う絵を描いているという。そんな中、この危ない幼稚さを秘めた自分の個性を認め、押し出すその力と根性に、将来性を感じてしまい筆者はその小品を1点所有している。
この春から多摩美術大学の大学院に進学、今後の活動に注視したい。

木下朝美

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