[ギャラリーからの手紙]>『MY WORLD, YOUR ANOTHER WORLD/HBK!』

Posted on 6月 12, 2007

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僕は福岡市薬院というところにあるIAF SHOP*というギャラリーでスタッフとして働き始めた。

まだスタッフになってから3ヶ月ほどでしかないけれど、ここにはいつも、世に出ていない若いアーティストから何十年もアートシーンを見守ってきた重鎮までざっくばらんに飲んだり話したりできる場がある。

ギャラリーの紹介はまた別の機会に譲るとして、僕がIAFのスタッフになってから「これは!」という展示が飛び出したのでどうしても紹介したいと思って、今こうして寄稿 している。作家の勢いに、背中を思いっきり蹴飛ばされたのだ。

その展示はHBK!(ヒビキ)という若い男の写真展『MY WORLD, YOUR ANOTHER WORLD』というものだ。

彼はうちのギャラリーのVIOLENCE部門担当のコジマドッグというスタッフが連れてきた写真家なのだけれど、立派な体格とややロシア風な顔立ち、そしてハードな服装と相まって、現れた瞬間強烈な印象を受けた。

さらに話してみると、なんとも朴訥とした真面目な人間なのだけれど、彼の風貌のせいかやはり言葉の端々に非常にパンク、反社会的、孤独、鋭利、 狂気というような印象が勝手にこちらの脳内に浮かんできてしょうがない。

いったいどんな人生を歩んできたら、こういう人間になるのだろう。

多くを語らない姿勢がよりこちらの印象を強くしていく人間だった。

そしてHBK!個展 初日。

個展としては初めてらしいのだったが、路上やイベントなどで何度も展示を重ねているらしく誰も心配していなかったのだが…。

ギャラリーの開く18時 になってもHBK!は姿を見せない。

どころか、IAFのギャラリースペースは空っぽ。

HBK!は15分程遅れてやってきた。

自分の作品を小脇に抱えて「すいません。自分ちの用事があったもので。」と言いながら、さっそく展示作業に入ったのだった。

IAF前代未聞 の出来事だと先輩方は苦笑していたが、僕は初日から楽しくてしょうがなかった。

唐突ではあるが、 僕は写真作品というものがどうにも分からない。

そこに美術的になんとかかんとかとか、それを考えなくても写真を見て自分がどうだとか、あまり感じることが出来ない。

絵を見ると、どんな作品であれ、僕はその作品に入り込む感覚がある。

自分の肌、感覚、記憶に合うものであれば 絵画でなくとも一般的にアートでくくられるものはどれも等しく、感銘を覚えた。

しかしなぜか写真だけは近くて遠いメディアとして、いつも僕の感覚の遠くを表しているのだ。

過去、名作と呼ばれたものですら僕は理性でも感性でもつかみ取ることが出来なかった。

ところがHBK!の作品を見て僕はざわざわとした思いが体の中に立ちこめてきたのだ。

これは絵だ。

HBK!の意識がどうあれ、僕には絵に見える。

そう認識できた瞬間、彼の作品は僕をドス黒い不安で包んでゆく。

まるで暗黒舞踏を見る時の、不安と恐怖と何か固い感覚の肌触り、それと郷愁すら覚えてしまう、ほんの少しの安心感。

恐怖や狂気に包まれる安心感。

その安心感がまた恐ろしい。

彼の作品にはそれがある。

ただエグイだけを売りにしている作品ではなかった。

僕はようやく写真を理解できたのだろうか。

とにかく、彼の写真からは多くのものを感じるのだ。

『できるだけ多くのお客さんにできるだけ自分の見方で作品を見てもらえるような“場”を作っていきたい 』

というのはIAFのボス、サトケイが最近自分のブログ(http://tenjinstreet.jp/satokei/)に書いていた言葉だ。

HBK!の展示は今、来てくれた人には何かしら強い印象を与えているようだ。

ギャラリースタッフとして、 充実感を感じると共に「おめーもしっかりやれよ」とHBK!の背中が僕に圧力をかけてくる。

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タイトル:MY WORLD, YOUR ANOTHER WORLD
作 家:HBK!
期 間:2007年5月31日[木]-6月17日[日]
休廊日:月・火・水曜日休廊
時 間:18:00-23:00(日曜13:00-18:00

IAF SHOP* にて

http://members.jcom.home.ne.jp/iaf_shop/index.htm

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