【左のポケット】その41「見世物小屋」 長島義明
Posted on 2月 27, 2008
「さー、いらっしゃい!、いらっしゃい!」
「世にも珍しい娘だよ」
「たこ娘に、ろくろく首、蛇娘だよ!」
「親の因果が此の子に報い、可愛そうに姿、形がこうなった。」
「名前はあるよ、お花ちゃんにお玉ちゃん、そして、もう一人、あさきちゃん。」
「お玉ちゃん、ちょっとお客さんに顔を見せておやり」
そばに開けられた鉄格子の窓の向こうで日本髪を結った女が、ちらりと横を向く。
「お玉ちゃんははずかしがってこちらを向かない。」
「日本全国広しといえど、たこ娘に蛇女、ろくろく首の娘に会えるのはここだけだよ。」
「そこの坊ちゃん、お嬢さん、おかみさんに旦那さん、後学の為、話のネタに
さー、入った、入った。見ていらっしゃい。」
「お代は1000円、さあ、お玉ちゃんが待ってるよ」
天満橋界隈の大川沿いに桜が咲いて、造幣局の通り抜けが始まると百を越す屋
台の隅で見世物小屋が立っていた。昔懐かしい、客を誘う呼び込む男はだみ声で、マイク片手に話しかける。
一昨年の通り抜けでは見かけたが、昨年、小屋は見かけませんでした。
なんでも大阪市の教育委員がクレームを付けたと云う事だ。人権上よく無いと
、長く続いた庶民の娯楽、規制するのは役人達の得意技。
こうして、いろんなものが消えて行く。
でも、僕には懐かしい。
夜店にお祭り、お花見と、屋台が出て、お化け屋敷や、見世物小屋が立ち、綱渡りする男や、火を吐く男、包丁売りの講釈に、がまの油売りや、バナナの叩き売り、あめ細工、小鳥のおみくじ。そんな店をオヤジの腕にすがりながら見に行った。
もちろん今の様にニンテン堂の携帯ゲームなどはない時代です。
インベーダーやエイリアンより、人間的でわくわくし、興奮したのです。
バイ、ベッタン、ラムネ、ビー玉、おはじき、おじゃみ、日光写真、紙芝居、金魚すくい、木登り、缶蹴り、チャンバラごっこ、竹馬、鬼ごっこ。
げんこつあめに、素こぶ、綿菓子、べろべろ、あべかわ、練りあめ、えびせん
ニッキ、ショウがあめ湯、
今の子供より遊びの対象は多かった。
マクドとゲームはなかったけれど、そばにはわんぱく坊主の明君も、かわいいお下げ髪のミキちゃんも居た。子供は沢山そばにいた。
今の子供はなにして遊ぶ?
オヤジは昭和の昔を思い出す。
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