【思考する目】36「人間の海」 長島義明
Posted on 1月 6, 2008
人は全て自分だけが特別な存在と思っている。親に対して、兄弟、姉妹に対しても、まして他人などは自分の事などこれっぽっちもわかってくれない。理解してくれないと思っている。実は僕自身そうであったし、今もそう思う時がある。
この地球上に何人の人間が存在するのか正確には知らないが、おそらく、そのほとんどの人もそう思い日々を暮らしているだろう。
僕らは他の生き物を見る時、どのように思って判断しているだろうか。犬、ねこ、カラス、鳩、猿、コウモリ。せいぜい犬やネコなど飼っている動物は優しい性格とか我がままなネコだとか単純な判断はするが、ほとんどは単に犬は犬でしかなく、ネコはネコでしかない。
人間の群衆を見るとき、僕は犬やネコと同じように人も単に人としか見る事が出来ない。大勢の人間が居るんだ。と云うぐらいだ。
極端な言い方をすると人間も他の動物と何ら変わる事無く、起きて食べ、排泄して食べ物を得るため働き又食べて寝るのです。そして成人になり異性を求め、SEXをし、子供をつくり、老いて死んで行きます。
それは他の動物と変わらない人間に与えられた役割です。それ以上でもそれ以下でもありません。
もしそれ以外にする事があるとするなら、それは時間のあまった閑を過ごす為にする事、たとえば音楽を聞く、テレビ、映画を見る、アートをする、哲学をする、政治を語る、他人の噂話をする、スポーツをする、ミクシーに日記を書く。どれも、ネコが毛をなめたり、猿がノミをとる行為とそんなに違いがありません。 様は閑をもてあますから行うのです。
リゾートホテルのプールで年配の女性がひとりバタフライで泳いでいました。
バタフライで泳ぐのは結構疲れます。しかし、その女性は昨日も今日も朝から泳いでいました。泳ぐことが彼女にとって、存在する理由のように。
見ているとひとりで宿泊しているようです。ホテルから出る事無く、ただひたすらに泳ぐその女性を見ていて、なんだか寂しくなりました。
おそらく彼女は思っているでしょう「誰も私の事をわかってくれない、誰も私の事をかまってくれない」「いいわ、私は一人で泳ぐわ、人間の海を」
人間は寂しい動物です。 僕も君も。
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