【思考する目】29「国家の裏側」 長島義明
Posted on 9月 8, 2007
先日2人のアメリカ人に会った。
一人は古くからの友達で僕と同年輩、そして30半ばになる彼の息子である。ジョンは子煩悩でボランティア活動にも熱心な男で一人息子以外に養子縁組したベトナム人の男子を育てていた。
僕が彼と知り合ったのは30年程前だからベトナム人の男の子も30半ばを越えているだろう。ジョンは3回離婚して、3回結婚している。その間、ベトナム人の男の子は誰が育てたのだろうか。
分かれた奥さん、いや、ずっと彼が育てて来た。
日本人には出来ないな、と思う。
久しぶりの再会なので日本料理屋で食事をした。
ジョンの息子も結婚して2人の女の子の父親になっている。
財布の中から取り出した写真には幸せそうな家族の姿があった。
彼は2人の娘の話になると目を細めて語る。話し振りから可愛くてならないらしい、彼もまた子煩悩な優しい父親だ。
ジョンの息子はイラク戦場の任務を終え、東京で父親と再会したのだ。食事がおわり、バーでくつろぐと話がイラクの事になり、ジョンの戦場の話になった。
なにげなく彼は語る 「イラクでは26人ほど撃ち殺したかな、民間人の女性、子供も巻き添えでころしてしまったよ」
ニュースの解説のように何の感情もなく話をしている。
ジョンが昔、ベトナム戦争でベトコンと戦い、その話をする。
「俺もベトナムではすいぶんベトコンを撃ち殺したよ。数を勘定する余裕はなかったから、何人殺したかわからないがね」
僕は初めて聞く話。
子供を可愛がり、孤児になったベトナム人の子供を養子にもらい育て、ボランティア活動に熱心な、人のいい笑顔のジョンの戦争の話。その息子のイラクでの話。
アメリカに帰ると子煩悩で家族を愛し平和を語り、普通の良識人。 おそらくアメリカには、このような元軍人がウヨウヨ居るのだろう。
国家に貢献すると云う事のため、戦場で人を撃ち殺す事になんのためらいも無く、アメリカに帰れば良き父親であり、タバコも吸わず、環境問題と健康に関心を持っているアメリカ人の良識。
アメリカの国防、軍事費は世界で飛び抜けて巨大だ。
軍需産業はあらゆる部門に広がり、多くの国民がそれにより生活している。もう、予算は大きくなるばかり、軍事は産業、戦争は生活。このアメリカと云う国の構図、構造は変わらない。これからも。変えるとアメリカは破綻する。
重要なのは日本もそれに巻き込まれつつあることだ。
国家の裏に潜む、権力。
それは人間性も否定する。
写真、文ー長島義明
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