【思考する目】25「日本は貧しかった」 長島義明

Posted on 6月 14, 2007

のら、1 のら、2

ジャカルタの下町NORA,すえた,悪臭ただよう路地に水をくみだすポンプがあり、次々と人がやてってきてはバケツに水を汲んでいた。しばらくその場にいて、ふっと、思い出した。どこかで見た光景だ。遠い昔の,僕がまだ少年だった頃、小学校で同じクラスの友達が住んでいた所、中川町。雨が降ると路地はぬかるみ、敷板を歩くとガタガタ鳴り、トタン屋根に雨音ひどく、雨漏りもしていた。 当時の大阪にはそんな場所はいくらでもあった。皆まずしかった。戦後,米軍による空襲で焼け野原になった大阪は水道もなくバラック建ての家が肩を寄せ合うように建っていた。家の前、七厘で秋刀魚を焼く煙、そのにおい。貧しかったが皆必死に生きていた。こそ泥はいたが今のよぅに悲惨な事件は少なかつた。こそ泥で思い出すが、母が台所で夕飯の料理をしていた時,窓からスーと,鈎のついた棒がのびてきて、財布の入った買い物かごを引っ掛けると、そのまま窓から消えていった。見ていた僕が母に告げると、「早よ言わなあかんやないの」と、しかられた。
思いでは楽しかつた事の方が多い、しかし、戦争だけはごめんだ.焼け野原になった町はみたくない。
戦後のまずしさを知る人は少なくなって行く。豊になった日本、どこか危うい。

Filed Under 【思考する目】

★著者: 長島義明
★自己紹介:日本及び世界の人々、風景を40年以上撮り続けるフリーの写真家。著書にアメリカで出版された「One World One People」 「One World One Child」、「阪神大震災」、がある。 写真展「平和だった頃のアフガニスタン」は日本各地で30回以上開催。アメリカ美術雑誌協会最優秀賞受賞
★記事データ:掲載日 2007/6/14 at 10:24:27
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