【左のポケット】その7「空飛ぶ魚」 長島義明

Posted on 6月 12, 2007

空飛ぶ魚、1 空飛ぶ魚、2

僕は北の海で空を飛ぶ魚を見ました。
それは何メートルと云う距離ではなくて、何キロメートルも飛ぶのです。いや、ひょっとすると何十キロメートルかも知れない。
だって、その魚に南の海で再会したのですから。
きっと、あの北の海から遥々飛んで来たに違いありません。ノルウェーの最北端、ノードカップのまだ北に船で行くと小さな孤島があります。その北側の直立した岩に囲まれている湾が魚たちの空飛ぶ訓練基地です。ほかにも、カムチャッカ半島の突端近くの孤島にも同じ様な訓練基地があるのですが、ここにはまだ訪れる機会がなく、行っていません。地球上の北の海にはそんな所が5カ所ほどあります。魚たちは空を飛ぶために猛烈な訓練をします。朝食前に一時間、その後に3時間、昼の1時間半の休憩の後、3時間。夜はくたくたになって熟睡します。訓練は千びきの魚が一塊になつて行うのですが、上達すると三十ぴきぐらいの群れになります。これぐらいになると、1キロや2キロの距離は平気で飛んでいます。訓練の期間は6月から10月までと決まって居ます。11月になると雪が降り、氷がはり、あぶないからです。4ヶ月の訓練が終わるとたいがいの魚は自由に空を飛べるようになり、体も成長し、前びれ、尾びれ共、長く大きくなります。初めて知らない人がその魚が飛んでいる姿を見ても、鳥が飛んでいるとしか思わないでしょう。もう11月も半ばを過ぎ、そろそろカムチャツカの孤島で訓練を受けた魚たちが日本の上空を飛んでやって来る季節です。日本海でよく見かけるトビウオと違い、もっと上空を飛んでいます。もし、幸運にも空を飛んでいる魚を見かけたら、僕にご一報してください。僕も日本の上空を飛んでいる魚の姿は、まだ、見つけていないので、すごく興味があります。

Filed Under 【左のポケット】

★著者: 長島義明
★自己紹介:日本及び世界の人々、風景を40年以上撮り続けるフリーの写真家。著書にアメリカで出版された「One World One People」 「One World One Child」、「阪神大震災」、がある。 写真展「平和だった頃のアフガニスタン」は日本各地で30回以上開催。アメリカ美術雑誌協会最優秀賞受賞
★記事データ:掲載日 2007/6/12 at 20:51:20
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