【左のポケット】その3「墓を借りる男」 長島義明

Posted on 6月 1, 2007

墓を借りる男

お彼岸にお墓参りに行った時の事です。僕の両親の墓の3軒となりの墓でひとりの男が寝てましたんや。「おじさん、こんな所で寝てはるけど大丈夫ですか。気分でも悪いのですか?」「いや、気分はええ。墓参りの後でちょっと飲み過ぎて、気持ちようなって寝てしもたんや」「このお墓、おじさんのご両親か、ご先祖のお墓ですか?」「違うけど、名前が同じやから、ちょっと貸してもらいましたんや。」「墓を借りるて?」「出稼ぎに大阪へ来たけど、仕事がなくて田舎に帰られへんし、墓参りもでけへん、仕方なしに同じ名前の墓を借りて、墓参りをさせてもろうたんや。同じ名前や、先祖は繋がっているやろと思ってな。」
墓を借りた人に会うのは初めてや。世の中にはいろんな人が居るもんや。この時ばかりは感心しましたで、ほんま。

Filed Under 【左のポケット】

★著者: 長島義明
★自己紹介:日本及び世界の人々、風景を40年以上撮り続けるフリーの写真家。著書にアメリカで出版された「One World One People」 「One World One Child」、「阪神大震災」、がある。 写真展「平和だった頃のアフガニスタン」は日本各地で30回以上開催。アメリカ美術雑誌協会最優秀賞受賞
★記事データ:掲載日 2007/6/1 at 12:21:49
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